「どうかあの者を咎めずに」

「いいのか?」

「ええ、緊張しただけでしょう」

そう言い笑う、一定方向を見て。


白夜が目線を向けると、今日だけは特別に牢屋から出られた中級までの囚人が平伏している。


奴隷を見て笑う、彩が白夜を見て笑わない。


白夜の手と重なっている、右手とは逆の手で、奴隷達が作ったという宝石を触る。
石のぶつかる音がする。


奴隷にも、笑いかける彩。


白夜は彩のそんな顔見たことない。


「彩…段差だ」

転びそうに少し危なっかしく降りる彩、フラフラしそうになるたびに、無意識に俺の手をギュッと握る。


「恐れ入ります、陛下」

彩は知らない、代々外宮で待つのが基本の王が内宮まで迎えにきた事を…。


それは、彩を本気で思っていると示すもので、彩に悪戯をした姫の父親は青ざめていたことを。



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