正直いうと、しゃがんで拾う自信はないが、これは食堂でおしゃべりしてくれる、執事達が作ってくれたものだった。


途中途中に、花の形を作る宝石も散らばる。


自分の欲望の為に簡単に、他人の想いを踏みにじる。


嬉しそうに、差し出してくれたものだったから。
もちろん宝石は彼らのものではないけれど…作って祝ってくれる心に感謝したい。


陛下の手が動く


「お待ち下さい、魔法は使わないで下さい」

先に動作を制する。


周りから非難のさざ波の様な声が漏れ聞こえる。


ひとつひとつ心を込めて、紡がれた難しい模様の宝石達。


私みたいなのに、頭を下げて、祝う為にせっかく作ってくれたのに…


何も出来ない彩が本当は着る事を、許されない豪華な衣装で。


ゆったりと頭にのっている簪を落とさないように、しゃがみひとつひとつ拾う彩に侮りの視線が絡みつく。


「ふ〜…」

頭上でため息が聞こえ、すぐにゴテゴテ衣装の白夜もしゃがみ拾いだす。
もちろん周りから咎められるが、無視をしている。


「恐れ入ります、陛下」



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