「綺麗な服汚れるだろ、それに誰も来たがらない」

牢屋だから…。言葉にはそう含まれていた。


「そうなんだ…?ね、みんなの話し聞きたいの話してくれると嬉しい」

ここの人達の話しを聞く事は庶民生活がどんなものか知るために、必要なのだ。王宮勤めには、二種類の人間がいる、高位のものか、奴隷と呼ばれたメイド達か。

家庭教師なんかより、ずっとこちらの方が大事だ。


ポツポツ話す、話しは…彩にとってひどいものだった。

金持ちだけが受けられる医療、金持ちだけが入れる学校、金持ちだけが貰える身分、偉そうに振る舞う役人、妹を妾に差し出せと言われた人、姉を差し出せと言われた人、許婚を奪われた人、親が病気で薬代に困り盗みを働いた人。


理由は様々だ…理由があるから罪を許していい訳ではないが、罪は罪だから……でも、こんな時代だからと言っている。


急にこの人達の前でこの絹の服を纏って座っていることに恥ずかしさを覚える。

(嫌だというより、ダメだ私は……何もできない)


嫌だ嫌だと駄々をこねて、泣き喚きその反対でこんな豪華なものを着る。



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