「ふふっ…くすぐったい!この子の名前はなんて言うの…?」

「六花…って書いてりっか」

「女の子なんだ、かわいい」

「いや、姫さんそいつらに妖獣に性別はない」

「両性…?」

妖獣は天馬そのほか諸々の、総称である。

草食だろうと推測される、ライオンみたいなのも草を食べているし、豹みたいなのも寝ている不思議な厩が目の前に広がる。

「そう、両性。ふらりといなくなったら、子供を産んで帰ってくる」

「へー…なんか、すごいね」


初めて気をはっていない姿を見せた彩。


六花に乗せてもらい、飛び立つ六花に興奮する。


「すごい!すごい!」

下を見たら、王宮が小さくなっている。


「ハハ…お前、本当に年上?」

「22歳だよ、年上だし」

「22…?オバサンじゃん」

「はぁ?!淑鵬あんた何歳なの!」

苛立つ気持ちをぐっと抑える。


「19だよ、ピチピチだろ?」

「へ…?まだ19なの!」

(うそぉ、弟と同い年だ)


今の、この普通の会話が楽しいと思っている事は、表情から窺い知ることができる。



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