慌てて立つが、お尻を両手で隠している間抜けな格好の彩を見下ろす緋色の瞳。

その光景がデジャヴュしたように感じた。


「じゃあ、俺ん家行くか?」

「なぜ……?」

(なぜ、急にそんな事になるのかがわからない)


「長い話しを聞いてもらう事になる」

「初めて知り合った人のお宅にお邪魔できません」

「お硬いな…家は古いが広いし、ひとり暮らしじゃない、つべこべ言わずに来い!」

「夢だとしても、嫌です」

そう拒否する彩に目をしばたかせる美人、もとい白夜。


「夢でもゲームでも俺しか居ないんだ、ついてこないと飢え死にでゲームオーバーだそ!」

帰り道もわからない。
ヒッチハイクするにしてもどちらに大きな道路があるか不明だ。


「よろしくお願いいたします」

丁寧な礼で、お世話になる旨を伝える。


左手を引っ張られ、もつれる足で白夜にダイブする。

いい匂いに、女の私とは違う筋肉のついた硬い身体。

「な……!」

抗議の声をあげようとしたが、一瞬にして彩と白夜の周りを青い炎が包む。


反射的に目をつぶる彩、その彩の頭を庇うように包む白夜の手の大きさに、全身の毛が逆毛立つ。



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