「これは、姫君からお声をかけて頂くとは、この老いぼれも捨てたものでもござらんですのぉ」

見よう見真似で、手を合わせて頭を下げて挨拶をした彩。

(多分この人は、偉い人だ)
彩くらいデコピン位簡単で彩の気持ちなんか筒抜けだと思う。


「そのような事はございませんよ、曹さまのお陰で暮らせております」

(今の所は無事に…)


「何か不都合がありましたら、すぐ言うのですよ?」

(不都合…?一杯ありすぎて、どうしろって言うのよ!)

と心の中で悪態をつく。
そのまま、笑顔で過ぎ去る。


そして彩の顔は強張ったまま。


「あの人の役職は…?」

「宰相様だ」

やはり、宰相…その言葉をしらないほど私も無知ではない。


陛下の次に偉い人、臣下の中で一番偉い人。


「学校は外宮の1番奥って、まだ…?」

「まだ内宮だからまだ」

遠いというのもあるが、精神的に疲れる。
頭をさげられるのは、キツイのだ。

「内宮…?」

「後宮…、陛下の寝室がある辺りと執務室と食堂、あの辺りと会議室とあ…あのでかい門までが内宮。」



.