「ありがとうございます、栄達さん。青はあまり好きではないんです」

そこにいて聞いていた護衛から、批難の視線が彩に突き刺さり、疾はあーあ。姫さんやべーぞと、それでもどこか楽しそうに笑う。


「それは、配慮が行き届きませんで、姫にはご不便をおかけいたしております」

「とんでもございません。洋服をご用意していただけただけで、嬉しく思っております。赤と白と黒が好きなんです」

明らかに当てつけだ。
龍国が青なら、雀国は赤、虎国は白、そして武国は黒なのだから。


「それでは、御前失礼いたします」

丁寧にスカートの裾を持ち、陛下に頭を下げ疾を伴い去って行く。

「姫と喧嘩でもしたのですか?」

「俺との結婚は絶対嫌だそうだ。喧嘩できる位仲良くなってないしな」

「男女の語らいはまずベットから…と申しますし」

「ふざけるな…栄達」

ゆったりと否定する。
それは正しく、男女の仲になっていない事を知っている口調だった。



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