待っていたの

「……っ」

二歩後ろに下がる彩の手をとり握る。

緊張しているのが伝わる。彩の表情が強張る。


早足で、市まで下りる。


「週に一度、市は開催されている」

「雨天は?」

「中止だ」

そうだろう、普段はメインストリートの道に、布を敷きその上に商品を並べているという簡素な作り、雨が降らないように前日は祈りを捧げる。

(フリマみたい、あっーアレおいしそう)

「食べたいなら、そう言え」

ふと頭上から降る声に、恥ずかしくなるじっと見ていたのを知られていたのだ。


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