手首は少し痛かったのだろう、それを示すように微かに赤い部分がある。


周りのざわめきをBGMのように、玉座に座る白夜を右に立ち見ていた。


―…王様だ。


(本物だったんだ)

右側に曹老人と栄達が玉座に近い場所に座っている。


曹老人が今日の議題、彩の存在について話すみたいだった。


彩は玉座の紗の内側でぼやけて見える重臣達にホッとしたようだった。


「姫の御名は、法宮 彩とおっしゃる。伝承の通りあの月降りの草原に現れた、それも陛下の前に……」

「光に包まれ、草が揺れそこに現れた、姫は……伝承の通り異世界から来られた娘である」

「伝承の通り、姫が現れてくださいました、そして昨日は陛下と同衾されております。」

―…どうきん?


分からないと白夜に視線を向ける彩、しかしぷいと反らされた。


(なにどうきんって?お酒を飲んで、勝手に寝た事……?みんな知ってるの……恥ずかしいな)

彩は紗の後ろでモジモジし始める。


(大目玉くらうのかな?無礼だ!とか打ち首とか、切腹かな?)


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