彩は牢に行こうと、回廊を進む。


遠くに供を連れた曹宰相の姿が見える。
すぐに端に寄り、頭を下げる。


そのまま通りすぎるのを待つ。
だが、宰相の足は止まる。

「月妃さまどちらに?」

「牢屋に、畑の手入れをしようと思っております」

ふむと髭を撫で付ける。


「働く事はよいことですが、お忘れにめされるな月妃の役目を、夫婦仲良くじゃよ」

カッと彩の顔に朱が散り、唇を噛んだが頭を下げたままなので、宰相には見えない。



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