「なぜ……野菜なんだ?」

白夜がぽつりと呟いた疑問は、風にのり彩の元へ届く。


「食べれるでしょう?」

何の気負いもなく告げられた言葉。
彩は少しでも何か役に立たないかと思い、考えたすえに食べ物だと思いたった。


人間が生きる上で必要な、食べ物は何かと必要だろうと畑を作ってみたら案外人気らしい、奴隷は少ない休み時間に見に来る。


囚人も成長する野菜を見て、自分の犯した罪を考えるようになる。


彩には生きがいと、落ち着ける場所になる。


作った野菜達は、自分達の食事に一品多くつく事になる。


花は彩が言わずとも、何もせずに庭師が整え丹精込めて作ったものがある。


「そうか……」

感覚は庶民に近いらしい、やはり……悪くない。


今度は木になる果物を育てると言う彩は、ずいぶんと料理長と仲良くなったのだろう。


そう思うと黒い感情が、白夜の身体を蝕む。



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