そのまま、白夜が彩を引っ張り今では、ちょっとした菜園になっている場所まで来る。


「陛下いかがされましたか……?」


「なんでもない……ただ、お前はそんなに他人に心を砕くのかと」

「心を砕く……?」

「囚人や奴隷、そんな下層のものに気を使う」

「でも、私に優しいのは、陛下がおっしゃる下層の人だけですから……」

貴族や官吏が優しいのは月妃にだけだ。
月妃でない彩に興味はない。


「そうか……彩に優しいのか」

あいつらが、囚人が忠誠を誓うのが彩だとしたら、これは厄介だ。


水を汲み、野菜に水を与える彩を見ながら、白夜は思う。


普通の姫が育てるのは、美しい花だけだ。


本当に変わっている。



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