「赦すのは私じゃない、盗んだり、傷つけた人が赦すの……みんなは一生赦されない傷を負うの。いくら私がみんなを好きでも、罪は罪……だから、一生背負って生きて」

突き放す様な言葉、だがみなその真意に気づく。

「だったら、勅命をお前たちにやる」

白夜が口を挟む。
彩の涙を左手で拭い、牢を見渡す。


「へいか……?」

驚く彩を見て、笑う白夜。

「各地の牢に行き、彩が教えた事を実行しろ」

「それは……?」

「各地にある牢屋は、汚いままだ。それを改善するのだ」

「ですが……」

「気位の高い官吏は、誰もいかん。奴隷は怖がり無理だ」

「勅命、有り難く」

そういい平伏する。
ゴワゴワした囚人服が音を立てる。



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