待っていたの

オタオタと陛下の周りで、泣きそうな表情で彩を見ている看守達。


「月妃の仕事ぶりを見に来ただけだ」

すると安心するような、波が広がる。
王宮に居るものは、須らく彩を大事にしている事を知っているからだ。
彩への執着も、この牢の人間は知っている。


「あの…今から掃除するので」

その先は言わないが、暗にデカイ図体で手伝いもせずに、いられても困るのだ。

日本でも、邪魔にされている亭主と何も変わらない、普通の夫婦の感覚だろう。

夫婦には疑問が残るが。


「手伝いに来たのだが?」

そう言うと、略装の上を脱ぎ、さっさと腕まくりをしてしまう。


「え…と」

なんと言っていいのか、迷ってしまう。



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