「…ホントに?僕は、出来そこないの王様だよ」

「それは、色で決められるものではないです」

「…どういう」

「この世界で色が重要な事は解りました、しかし王の仕事は国民ひとりひとりでは出来ない、例えば橋を掛けるなどの事をしたり、して国をより良い方向に導くのが御役目です。それに色は関係ありません」

面喰らったような黒麗の表情。


「それに戒めは、自分を戒めるんですよ。そうやってダメだと思ってらっしゃるのは、驕りを抑制する為に効果的でしょう?」

今まで誰も言わなかった、長く長く…苦しめられてきた、色…………青。


欲しくて欲しく仕方がなかった色。


そのココロをいとも簡単に断ち切る少女。
黒麗より生きていない少女が簡単に鍵をあける。


「それに…中央は黄龍、司る色は黄色…。黒麗さまの御髪は、黄色と言えなくもないですよ?」

金の一滴の様に、黄色がかった綺麗な色だから。


困った顔をする、黒麗。


「服作りたいので、お先に失礼しますね」

それだけ告げ、わざとひとりにしてくれたのは、まるわかりなのだが…その心を嬉しく思う。


今あの子の地位は望んでなくとも
  青龍王 王妃
   月妃 法宮 彩

なのだがら。


「困った…」

そう言葉を漏らし、全く困った表情ではなく嬉しそうな表情を見せる黒麗。


「青に苦しめられていたはずが、解放したのが月妃とは言え龍王妃とは…なんの因果だろう」

髪を指に巻き付け弾く、あの娘は面白い。
諦めたかと思えば…心底諦めない。
奴隷に疑問を持ち、国政に対する意識と、志しも高い。


猫も被れる、完璧だな。
やはり、雀国に来れば辣腕を振るえるはず。


「それに…あの娘と夫婦とは、悪くない」

悪くない…。
白夜の底知れない執着もわかる、あいつも解放されたのか、あの小さな子供に。

確かに世界に繁栄をもたらす娘だ。



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