何の戒め…?

「まいったな…」

泣きそうな嬉しそうな笑いを、漏らす黒麗に胸がドキドキとする彩。


「…………?」

そんな黒麗を、見たことがない。
やっぱり、男の人なんだ。今の姿と言動は、油断させるため?


「外に出ようか?」

そう話し、護衛を命令で下がらせ二人で歩いて行く。

「黒麗さま…?」

何かされるとは思えない雰囲気だが、怒るかもね…陛下はと思う。


最初に出会った時に連れて来た場所の、石畳の上にある石で出来たテーブルと椅子に対面で座る。


花の咲くこの場所に黒麗がいる事が、凄く絵になる光景だ。


「彩はまだ知らない…?俺のこの髪が異質なのを」

髪を一房すくって持ち上げる。
その動作は今までのなよやかな動作とは、全く違う…荒っぽい動作だ。


「髪の長さですか…?」

自分でもまさかと思うが、それ位しか思い浮かばない。


「髪の毛の色だよ…僕だけ異質だ」

…………?
この世界には様々な髪の毛の色があるみたいなのに?

「…?」

よくわからない。
何が異質なのか。
戒めだと言ったが、それもほとんどカマをかけたみたいなもの。


「白夜は、青龍王だよね。髪の色は黒紺。この国では尊い色は?」

「青……!!あ」

「気づいた?」

髪の毛を背中に流す、黒麗。


「なぜ、白虎の白を…名前に?黒麗さまも…」

「そう、あと二人も何の色が入っているかわかるね」

「えーと、白虎王は…青が付きますか?玄武王は…赤ですか?」

「そう、瞳の色も…」

「黒麗さまは、白…陛下は緋色、白虎王は黒、玄武王は青ですか?」

「武王は正確には、藍色だよ」

「…髪の毛は、白虎王は、赤、玄武王は白ですか…その身に宿していない色が、貴色であり、国の色なんですね…」

つまり、黒麗さまは青を宿していない王様なんだ。


「わかった?」

「はいなんとなく、でも綺麗な事に変わりありませんよ?」



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