だが、それではだめだ。


大河を挟んで四つの大陸があり、その大河を越えたら他国になる。


この世界には、妖獣がいるので空師と言われる妖獣に乗り、他国に先陣切って突入する部隊がある。


ただし妖獣は乗れる人が決まっている、妖獣は高価なので、お金を持っている人しか乗れないのだ。


学校でも差別があり、妖獣を習える人は、妖獣を買えるつまり弁償できる人に限られている。


学校なのに…だ。


様々な考えを巡らせるていると、白夜の指が動く。


「陛下…起きられますか…?」

「もう少し…」

頭に唇を落とし、髪に顔を埋め強く抱きしめられ、寝息が聞こえる。


ベットの横にある窓を見つめる。
片側だけ開け放った窓と揺れるレースのカーテン、朝日のオレンジの綺麗さに涙が出る。


「世界は綺麗で、私の世界と変わらないのに…」

(どうしてなの…?)


「月妃…どうした」

月妃と呼ばれる度に、私がわたしでなくなる感覚がする。


名は体を縛る。


「いえ…何もございません」

陛下の部屋の扉に驚く声がする。


「陛下起きます…」

そう言うと手を離す。


腰に痛みを感じ、顔をしかめる、まだ白夜が中にいるような感覚だ。


痛む身体を騙して、シャワーを浴びに行く。


太ももを白濁の液が伝うが、気にしていられない。


パーティションを置き、シャワーを浴びる。


白夜はベットから起き上がり、ベットの端に座りパンツを履く。


彩のシャワーを見ながら、頬杖を付く。


「あ…」

ずっと見られていた事を、シャワーから出て、知った彩の顔は赤くなる。


白夜がシャワーを使っている内に、着替える。


白夜が出てくると、準正装の姿に着替えさせる。


メイド達が扉の壊れ方に、理由を聞きたそうだったが、私たちは何も言わない。

「月妃、朝食はとらないのか?」

「はい、別に用意して頂いております」



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