優雅に歩くその歩行の美しさ、野蛮な国と言った事、そしてその色から、この人物は雀国の高位の人だとふむ。


(…王様かもしれない)


無理矢理襲うなんて雰囲気とは、掛け離れている。
というよりも、この人が王様だった場合1番安全ではないのか。

「どちらに…?」

「ん?いいもの見せてあけげる」

そうして、彩が行ったことのない場所へ案内される。

壁のない、石畳の上にテーブルとイスのある場所で、花が咲き乱れている綺麗な場所。


「綺麗……」

花を見てこんなに綺麗だと思った事はない。


「そうだろう。この国で唯一の美しい場所だよ」

「そうなんですか?」

「武で成り上がったこの国と宝飾の我が雀国わたしらは、気が合わぬ」

「左様でございますか…確かに美しいご衣装ですものね」

(やはり…雀国王、朱雀王か…確かに赤の濃い色からの薄い色へのコントラストだ)


「わかるのかい?よし、付いてまいれ」

そう言われれば、付いて行くしかなくなる。



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