それは…僕たちのいる空間だけが切り取られたみたいで 周りの虫の音も 風に揺れて鳴る木の音も 消えたみたいだった。 頭の中が真っ白になる。 「…だからね…」 夏江ちゃんの声とギュッと強く握られた手で僕はハッと意識を戻した。 何度も流れ落ちてくる涙を拭いながら言葉を繋げようとする彼女を僕は抱きしめた。 きっと… 夏江ちゃんは死ぬかもしれないから僕に別れを言うつもりだろう。 言わなくても分かる気がする。 「…いいよ、もういいから泣かないで」 「…だっ…て」 「僕は待つつもりだよ」 .