「夏江ちゃん…基も皆家族も心配してる。一旦帰ろう」
「も…基って誰?
知らないよ、そんな人…」
惚けたふりをして帰ろうとしない彼女。
分かるよ…。
病気を認めたくない気持ちくらい。
誰だってそんな大きな病気を抱えてたら逃げたくなるものだと思うよ。
でもそれじゃ駄目だよ。
僕は力ずくでも帰らなきゃと夏江ちゃんの手を引っ張った。
それでも動こうとしない。
「夏江ちゃん!」
「いやっ、絶対に嫌!
帰らないっ」
「逃げちゃどうにもならないだろう!?」
「だってっ!!!」
夏江ちゃんは今までにないくらい大きな声で叫んだ。
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