「オイ。」
「…わわっ!?」
「何ボケーっとしてんだ?」
「あ、うん。何でもないよ?」
マオが急に話しかけてきた。
と言っても、私がボーっと昔の記憶に浸っていたからみたいだね…
「で、何?マオ?」
私をじーっと見ていたマオに問いかける。
「もう学校すぎてんぞ?」
「…え?」
予想もしていなかったマオの発言に、私はすっとんきょうな声を出した。
「はっ!早く言ってよー!!」
回れ右アンド、猛ダッシュで学校へと引き返す私とマオ。
「気付かないお前が悪い。」
私の少し後ろを遅めに走るマオ。
な、なんだこの余裕!?
どこまでマイペースなのっ!?
「悪くないっ!!ってかもっと速く走らないと入学式から遅刻だよっ!?」
こう言っても急ぐ気配は全くなし。
むしろ、フッと鼻で笑われたからね。
ム、ムカつく…
「とりあえず急ぐのっ!!」
私はマオの手を握り、引っ張った。
パシッ…
「え…?どうしたの?」
急に手を離したマオ。
何だか…機嫌が悪そうな顔?
「…先いけ。」
「え?」
「俺は後から行くから…先いけ。」
にらまれた。
マオ、怒ってるんだ…
…さっきのことかな?
「マオ?怒ったの?それとも具合悪いの?」
なんだか、いつものマオじゃないみたいだよ?
「…いいから先いけって!!」
余裕のなさそうな声。
「わ、かった。後から絶対きてね?」
マオに気迫負けした私は、先に学校に向かって走った。
…大丈夫なのかな?マオ?
後でメールしといた方がいいよね。
「…ヤバいだろ、俺。」
その場に座り、ケータイを開き電話をかける。
「ちょっとヤバい。アレ持ってきてくれ…頼んだ。」
電話をきった…
