「あーちょっとコーヒー買ってくる」


ビルの入り口のベンダーで立ち止まるカスミ。


「ほーい」


何気にエリコは先にビルからでた。


すっかり日も暮れて少し肌寒い。
そいえば昼夜が逆転していない生活がこれから続く。体を慣らすのが大変だろうと思っていたが、今朝は案外普通に起きれた。
このままの調子で続けられればいいな、エリコは思った。


「エリコちゃん?」


不意に聞き慣れない声に呼び止められた。

振り替えると二人の若い男が近づいて来た。シャツの袖からタトゥーが覗いている。


まともな奴らじゃない。


もちろん知り合いじゃない。


何かがヤバイ。エリコの本能がエリコ自身に警鐘を鳴らした。