あれから二年が過ぎ、稟は大学を卒業し、父親の会社で働き始めた。


俺も、少しずつ仕事が忙しくなってきて、前みたいにゆっくり稟と顔を合わせる時間が無くなっていた……。


そんな時、事務所の社長に呼び出された。


「失礼します。
何ですか?社長。」

「あぁ、章夫か。
まぁ座れよ。」


「はぁ……。」


「お前を呼び出したのは、他でもない。来年の六月に有る、『ピン芸人王者決定戦』お前も出ないか?最後のチャンスだ」


「俺がですか?」