幾つか電車を乗り継いで、どうにか稟の家まで来た。


「めちゃ緊張するぜ!」


手の平にかいた汗を、ズボンで拭いた。

ドキドキしながら、インターホンを押す。


『はい……。』


「稟?
俺だけど。」


『俺、俺詐欺はお断りですよ?』


とインターホン越しに、クスクスと笑ってるし……。


「じゃあ、さようならぁ。」


『待って、待って!今、開けるからぁ』

芸人に勝てると思うなよ?