そしてニンジンを刻んでいると


「痛っ」


考えごとをしながらだった為か、指を包丁で切ってしまう。




赤い血が、傷から流れる。





私は思わずテレビの方に顔を向ける。


しかし





そこにユウの姿はなかった




「アイツ・・・何処行ったんだ?」


そう思いながらも、痛む傷に負けて、キッチンを離れようとした



その時






「手を貸せ」




ふと隣から声をかけられる。


あまりにビックリして、転びそうになったが、ユウが私を抱き締める形で助けてくれた。


「あ・・・ゴメン」


なんだか恥ずかしくなって、すぐに逃げだそうとしたが





・・・力が強い




私を抱き締める腕の力が一向に緩む気配がない。