「美姫?」



呼ばれて気付く。


紗世が心配そうに見つめる顔があった。



「何か考えごと?」



「うん…ゴメン」



私は静かに答える。



今日も答えてはくれなかったね?



「そっ!・・・てかさっ図書館でイィもの借りてきたの♪」



紗世が雰囲気を明るくするためか、わざと元気に言ったような気がした。



それでも私にとっては助かるんだけどね...



「ぢゃ~んっ!!」



見せて来たのは一冊の黒い本...



分厚いわけではないけど、なんだか妙に重そう。



そして題名には赤い字で






【ヴァンパイア】







そう書かれていたのだった。