「おっはよぉ」
下駄箱で靴を履き替えようとすると同時に、紗世が元気よく私に言ってくる。
「おはよ」
私は朝が苦手なため、朝はいつも不機嫌な返事。
「ねねっ本、どうだった?!」
紗世はワクワクしながら聞いてくる。
それを聞く為に私のとこに来たのかって今更ながら気づく。
「つまらん」
私はそう言って教室に向かおうとする。
「ちょっっ美姫!!」
紗世が足早に私に追いつく。
「つまらんっの一言で終わらせないでよ!!でも全部読んだんだ?」
「読んでないよ。2ぺージ目でやめた」
「はやっっ!!それじゃあ何も分かってないじゃんか~」
「紗世も見たら思うことだよ。待って、今返すか・・・ら?」
私は鞄を探し始める。
だが、入れたはずの本がない。
・・・忘れてきた??
「もしかしてナイの??」
「ごめん。確かに入れたんだけど」
「遊び用の鞄に入れたんじゃないの?」
「そうかも。ごめん」
私は紗世に謝る。
だけど、紗世は何処か嬉しそうに「全然いいよっ」っとだけ言った。


