バッティングセンターにはカップルがたくさんいた。

「うわー!カップルおおー」

「彼氏の方が彼女にいいとこ見せたいんだろ」


「あっ。空振りした」


「カッコわりー」


そんな会話をしながら、空いてる台に入る。


「じゃあ、どっちからやる?」


俺は後ろから着いてきてる橋本の方を振り替える。


橋本はすでにバットを持って、メットを被ってた。


「………………どうぞ」


俺はバッターボックスの方に手を伸ばして腰を引いた。


「よぉーし!打つぞー!」

橋本はヤル気満々でバットをグルグル回してる。


「あれ?金は?」


バッターボックスでもう構えてる橋本に聞く。


「…………最初くらいおごってー」


橋本は顔だけこっち向いて笑いながら言った。


「………ふー。しょうがないな」


俺はそう言いながら金を入れた。