とんとん。


誰かにつつかれた。


俺は重い頭を上げる。


「あっ!やっぱりー!」


前から高いトーンの声が聞こえる。


俺はまだ視界がぼやけててよくわからない。


「神崎豪君だよね?」


前にいる人物は俺に問い掛けてきた。


誰だし。ったく。


「あぁ。わかったから寝させてくれ」


腕の部分を触れてた俺はちょいちょいっと腕を指差す。


ったく。なんで前にヒトが……………あれ?


俺って席一番前じゃなかったか?


俺はパチンと頬を叩いて目を覚まさせる。


前を見た俺は、はっ?としか思えなかった。


「やっ!」


そこには元気に手を上げて声をかけてくる、橋本がいた。


「んなッ!?転入生って高橋じゃねーの!?」


「え?私だけど?」


橋本は不思議そうな顔をしている。



ちくしょー。篠原の野郎、名前間違えてんじゃねーよ。 


俺は篠原の方を見た。


当の本人は爆睡中だ。


「ねぇねぇ」


前から声をかけられた。