雪に消えたクリスマス

ガッチャン。
 それは、一瞬の事だった。
「今のはいったいなんなんだ?」 
 突然目の前に現れたのは、大型トラックのフロントフェイス…けたたましいクラックションを鳴らし、俺に突っ込んできた。
 そして、次の瞬間、俺はまた、扉の前に立っていた…。
 もう、他の扉を開けるのはよそう…。
 俺は、六番目の扉を通りすぎ、天使のような笑顔が素晴らしかった受付嬢の言った、七番目の扉を目指す。
 扉は、既に見えている。
 扉が近づくにつれ、俺の心臓がドクドクと、脈が激しくなってくるのが分かった。
 一歩一歩を、緊張の足取りで進む俺の目の前に、とうとう七番目の扉が立ちはだかった。
 俺が入るこの扉には、いったい何が…?
 俺は、七番目の扉のドアノブに手をかける。 手が、緊張のために少し湿っぽい。
 そして、ゆっくりと俺は、扉を開けた…。
 キィ…。
 扉が、少し軋んだ音をたてて口を開く。
 そして、俺は扉の中へと、一歩踏み出した。
 扉の向こうは意外と狭く、椅子が一脚と、大きな机が一つ、そして、壁の変わりに、大きな鏡が立て掛けてあった。
 椅子に座ると、ちょうど鏡が向かい側にくる形になり、俺は自分の顔をみて座る事になる。
 他には、特に変わった様子はない。
 先ほどの部屋に比べると、少々拍子抜けをしてしまった。
 俺は椅子に腰掛けたが、しばらくの間、変わった事は何一つ起こらなかった。