雪に消えたクリスマス

「電話って…………メールならしているだろ?」
 そう言ったのは、二年前の俺だ。
 これは………昔の映像?
 確かこの時は、麗から電話がかかってきたんだったな…。
「それが嫌だっていってんの!何度も言ってるじゃん!何でわかってくれないの?」
 そのケンカをしたのは、12月に入って、しばらく経った頃だ。
 その頃俺は、麗を驚かしてやろうと、あるモノを探していた。
 だから、麗に本当の事を言うことができなかった。麗をびっくりさせたかったから…。
「そんなこと言ったって……しょうがないだろ?なんなら今から会うか?」
 時計を見ると、午後の十一時半を回っていた。
「………そんな事…今からできるわけないぢょしょ>」
「………じゃ、俺にどうして欲しいんだよ?して欲しい事があるなら言ってくれよ」
 俺が、少々冷たい口調でそう言うと、麗は言葉に詰まり、黙り込んでしまう。
「…………………もう、いい…………」
 そして、麗は電話を切った。
 俺は、女の子によくあるただの癇癪だろうと思い、電話を返そうとは思わなかった。
 ヒステリーを起こした女は、放っておくに限る。その内、頭も冷えるだろうと…そう思っていたのだ。
 俺は、麗のために努力している。麗の事だけをいつも考えて行動していると思い込んでいた。
 それが、ただの思い込みに過ぎないということに気付かずに…。
 電話を切ると、俺の映像は消え、見えるのは、電話を握りしめて泣いている麗だけとなった。