雪に消えたクリスマス

ガッチャン。
 そして、再び唐突に、俺の前に扉が現れた。
 俺は、先ほどまでいた扉の前に、再び立っていたのだ。
「今のは………?」
 今度は、声が出た。
 あれは…宇宙………?
 八つ並ぶ扉は、それぞれ、こんな奇妙な世界と繋がっているのだろうか?
 俺は、生唾を飲み込みながら、自分が入る扉は、いったいどんな世界と繋がっているのか少し不安になった。
 この分なら、とんでもない怪物が出る部屋に通されても不思議はない。
そう考えると、末恐ろしくなってくる。
俺は、目の前に並ぶ八つの扉を再び見つめ、三番目の扉に手をかけた。
「もういい加減にしてよ?」
 いきなり、感極まった女の声が、俺の耳を打つ。
 この声は…………麗?
 真っ暗な闇の中に、忽然と、麗の姿が浮かび上がる。
 暗闇の中で、麗は電話をしていた。
 麗の電話の相手は、おそらく………。
「もう何日電話してくれてないと思ってるの?いい加減にしてよ>」
この日、俺と麗はいつものようにケンカしていた。