そのとき、自分には不思議な“チカラ”があると気付いた。けどそれは誰にも言ってはいけないような気がした。




例え言ったとしても、人の頬を触るだけでその人の過去が全て見える、なんて誰も信じやしないだろう。
疑うどころか、きっと俺精神科や病院へ連れて行かれる。この“チカラ”に気付いた小学5年生だった俺は、そうなるとだいたい予想はついていた。




だから俺は、5年経った今だって誰一人にこの不思議な“チカラ”については言わなかった。