太田は 今度はオレの代わりに 日村 令子と

並んで歩いていた

声のトーンが いつもより 高い


「ドゥ・・ドゥーユー ライク ヤキニクゥ?」


その程度の 英会話・・・ 小学生か!

いや 幼稚園でもいいかな・・・

オレは 冷めた目で 太田を振り返った


「なっ なんだよ!! これは もうすぐ行われる

会社の面接試験で 出るかもしれないんだ!!」



出るか!そんなレベルの会話・・・!

そうか・・太田は この高校を卒業したあとは

就職希望だったな・・・


「・・・・」


日村 令子も あまりの質問のレベルの低さに

あきれたのか 何も答えない


「先生 英会話はどうしたら

うまくなるんですかね!?

やっぱ 海外とかに留学しないと

ムリですか?」


太田が 本当に英会話がうまくなりたいのか

どうかは 疑問だったが そのあとの

日村 令子の答えは 『勉強』という視点において

参考になった


「海外に行かなくても 『やる気』にさえ

なれば『言語』なんて 日本に居たって

どんどん吸収できるものよ

私が 外国語を学ぶ人たちに対して

いつも 思うのはね  結局『言語』というのは

その人の『思い』を『表現』する手段なの

中身のない人間が いくら『よその国』の言葉を話しても

結局 中身のない会話しか出来ないということ

母国語である『日本語』でさえ 思いを通じさせる

ことが出来ないでいて  どうして『外国語』なら

思いを通じさせる事ができるのかしら?」