外に出ると 星の輝きが小さく薄くなっていた

まもなく 明るい『朝』の到来を 教えているようだった


辺りを見回すが 日村 令子の姿は見あたらなかった


『やっぱり先に行ったのか… っていうか、

ホントにあそこに行ってるのか?』


オレは 段々 疑心暗鬼になっていた


少しずつ 山道を下り 昨日の あの


『恐ろしい場所』


に近づくにつれ 昨日の『恐怖』が

感覚として 身体に 戻ってきた


少し道を下りただけだったが

『やっぱ… やめようかな… なんか、怖えぇ!』

オレは スゴク怖くなってきた


行った先で一人だったら…

それを考えると 不安で仕方なかった


最後に オレを見つめた あのむき出しの目…


二度と会いたくなかった


何も知らなければ 朝もやの残り香と

すがすがしい空気で 大自然の恩恵を

全身で感じられる瞬間だ

ところが 昨日の あの『恐ろしい』出来事のおかげで

朝もやの 残りでさえ 『不気味』にしか

感じられない

オレは 山道を下っていた足を止めた


そして 再び時計を見た 「4:55am」


『立ち往生』とは この事だ


先へ進もうとする 勇気の意識と

後ろを 振り返り 一目散に逃げ帰りたい 臆病の意識とが


今 オレの周りをとり巻き どちらが勝つか

競争しているような 気分だった


しかし オレは やはり 『怖かった』

もう この能力…そう 『霊能力』も 今のままでも

なんとか やっていけてる