-ギィ…バンッ!

そうして この部屋に

オレ と 日村 令子

二人きりになった


オレは 先ほどの 

霊との

遭遇時と 同じくらい…


心臓が バクバク してきた


『全部使っていいわよ』


『いずれ 分かるわ…』


夢の中での言葉

『やらなければならない…』



日村 令子との いろんな場面での

言葉の やりとりが


オレの 頭の中を 飛び交った


この 部屋の 静けさが

オレの 鼓動を 更に 強くした


日村 令子 が口を開いた


オレは 口から 心臓が飛び出すのを

抑えるかのように 息を呑んだ


「奥村… ヒカル…」


「ハ ハイッ!」


おいおい これじゃ さっきの小津と

変わらね~っっ!


日村 令子は クスッと笑った


この 見透かしてるような 『余裕』が


ムカツク


「そんなに 緊張しないで 座ったら?

私は 小津先生みたいに 怒ったりしないわよ」


日村 令子の 目線の先を追うと

オレの すぐ後ろに 太い丸太を切って出来た

イスが 置いてあった