令子は おばあちゃんの指差した方向を見た


『な~んだ あそこかぁ』


令子は 『光』しか見えていないのに

なぜかそう思った


「あっ ほら 大丈夫!

あそこに行けば帰れるわよ」


男の子も 振り返った

途端に 男の子の表情が明るくなった

どうやら あの『光』を知っているようだ


「ありがとう!おねえちゃん!」


そう言うと 男の子は『光』に向かって走って行った


『光に向かって走るから・・・ヒカル・・・』


それが なぜか急に令子の頭をよぎった


「ヒカルくん!ばいばいーーーーい」


令子は 男の子の背中に向かって叫んだ


「さっ 令子 急いで!時間がないの!」


「うん」


令子は もう一度おばあちゃんと

手を繋ぎなおした

またおばあちゃんは走り出した

令子も走り出したが

走りながら 男の子を振り返った

光が眩しくて 男の子を見つけることは出来なかった

だが また 光に向かってこう叫んだ



「ヒカルくーーーーーん

困ったことがあったら

また 呼んでねーーーーっ」











「では 教育実習生に 一言ずつ挨拶をしてもらいます」


令子は ハッとした