ヒカルは 眠っている樹花の手を

そっと握った




いつの間にか ヒカルは夢を見ていた


幼い日の夢・・・



それは ヒカルの父親の生家である

宮崎での夢だった・・・





暑い夏 宮崎の海は 晴れていると

エメラルド色の海と

紺碧の空との

2色にくっきり水平線で色分けされた世界が

とても美しかった




ヒカルは その海と空の

『分かれ目』に行ってみたかった…








「奥村さん!!あんたんとこのヒカルくん!

テトラポットのところで遊びよったけど

大丈夫やろか?

一応『そこで遊んだら危ないぞ』

言うたんやけど」



「おぅ!そいじゃ ちょっと見てくるわ!」



海沿いで釣りをしていた

ヒカルの祖父である郁夫は

いつもの『釣り仲間』から

そのように聞くと

その場に釣り竿を置いて

4才になって まだ間もない

孫のヒカルを探しに行った