あれはきっと『あの女性』と交わしたのだろう…
『自分が出来ない分 弟にさせる』と・・・・
坂本の… 弟の意識に入り込ませてもらったのだろう・・・
オレは そんな話しを帰りの車の中で話した
『三界万霊』の供養の時に見た 昔の『女性』の話し
その女性と坂本のお兄さんの繋がり…
だが みんなのリアクションはオレの期待を大きく裏切った
オレが 一通り話し終えた後の 中道さんの一言!
「やっと…通じたんだよな、あのひとに。俺たちのやってきたこと」
「ああ・・・そうだな」
相づちを打ったのは 島田さんだった
「えっ?みんな見えてたんですか?」
オレは中道さんと島田さんに後ろから高いトーンの声で返していた
「見えてはいないさ。日村さんから聞いていただけだよ。奥村くんくらいハッキリ見てみたかったよ」
「そう…なんですね。」
笑いながら応えてくれた中道さんにボヤッとした返事しか出来ないオレ
「そうなんだよなぁ、僕たちはそこまでしっかりと見えないもんなぁ。
まぁ、だけど…清々しい気分になるんだよ、こういう事をやる度に。
不思議なことに。」
島田さんも笑いながら返してくれた。
「すいません、オレ…飛び入りのくせに偉そうに話したりして…」
「そういう意味じゃないよ。見えることは羨ましいんだけどさ。
だけど、見えなくたって感じるんだ。本当のことをやているんだ、って。」
今度は坂本だった
オレは 後部座席を振り返った
坂本のお母さんも ニコニコしながら頷いている
「そう、ソレだよ。見えなくても感じる。正しい所に向かっていると分かるんだ。」
再び島田さんが後ろ向きのオレに話してくれる
見えなくても感じる
オレはふと思った
ふだんから何も見えない人たちがこの世界のことに見えるカタチで関わるということ
それがどれだけ当たり前ではないことなのか
当たり前でないことを当たり前のようにこの場に居させてもらうこの感覚
見えないのに見えない世界の事を信じて
休みも費やして
こうやっていい大人が集まって
きっと
他人から見たら
物凄くバカバカしいとさえ思われているのかもしれない
だけど
そのバカバカしいことを
清々しいと答えてくれるこの人たちは
この人たちこそが神か仏かくらいにオレの方が感じてしまう
そんな事を思いながら日村先生を見た
先生は今更ながら・・・・
ニヤッとしながら 窓の外を眺めている
言葉に詰まってしまったオレが面白いのか分からないが、オレは視線をリンコに移した
リンコはさっきからグスグス泣いている
オレの視線に気付き、リンコは泣きながら話した
「グスッ…私は直接…なんにも関係はないのかもしれないけど…
でもこうして剛に会えるようになったのは、この事のお陰だと思ってる。
私も見えないけど…グスッ…感謝してる。日村先生に感謝してる。」
リンコは小さなハンドタオルを口もとに当てながら話す
その泣いている時のクセは坂本の事故の時の
あの若かった高校時代を思い出させた
オレは再度日村先生を見た
先生はもう笑ってはいなかった
ただ
窓の外の遠くを見ていた
街並みや歩道をいく人を見ているのではなく
すごく遠く
ここにいる誰もが見えていない世界を見ているように感じた
『自分が出来ない分 弟にさせる』と・・・・
坂本の… 弟の意識に入り込ませてもらったのだろう・・・
オレは そんな話しを帰りの車の中で話した
『三界万霊』の供養の時に見た 昔の『女性』の話し
その女性と坂本のお兄さんの繋がり…
だが みんなのリアクションはオレの期待を大きく裏切った
オレが 一通り話し終えた後の 中道さんの一言!
「やっと…通じたんだよな、あのひとに。俺たちのやってきたこと」
「ああ・・・そうだな」
相づちを打ったのは 島田さんだった
「えっ?みんな見えてたんですか?」
オレは中道さんと島田さんに後ろから高いトーンの声で返していた
「見えてはいないさ。日村さんから聞いていただけだよ。奥村くんくらいハッキリ見てみたかったよ」
「そう…なんですね。」
笑いながら応えてくれた中道さんにボヤッとした返事しか出来ないオレ
「そうなんだよなぁ、僕たちはそこまでしっかりと見えないもんなぁ。
まぁ、だけど…清々しい気分になるんだよ、こういう事をやる度に。
不思議なことに。」
島田さんも笑いながら返してくれた。
「すいません、オレ…飛び入りのくせに偉そうに話したりして…」
「そういう意味じゃないよ。見えることは羨ましいんだけどさ。
だけど、見えなくたって感じるんだ。本当のことをやているんだ、って。」
今度は坂本だった
オレは 後部座席を振り返った
坂本のお母さんも ニコニコしながら頷いている
「そう、ソレだよ。見えなくても感じる。正しい所に向かっていると分かるんだ。」
再び島田さんが後ろ向きのオレに話してくれる
見えなくても感じる
オレはふと思った
ふだんから何も見えない人たちがこの世界のことに見えるカタチで関わるということ
それがどれだけ当たり前ではないことなのか
当たり前でないことを当たり前のようにこの場に居させてもらうこの感覚
見えないのに見えない世界の事を信じて
休みも費やして
こうやっていい大人が集まって
きっと
他人から見たら
物凄くバカバカしいとさえ思われているのかもしれない
だけど
そのバカバカしいことを
清々しいと答えてくれるこの人たちは
この人たちこそが神か仏かくらいにオレの方が感じてしまう
そんな事を思いながら日村先生を見た
先生は今更ながら・・・・
ニヤッとしながら 窓の外を眺めている
言葉に詰まってしまったオレが面白いのか分からないが、オレは視線をリンコに移した
リンコはさっきからグスグス泣いている
オレの視線に気付き、リンコは泣きながら話した
「グスッ…私は直接…なんにも関係はないのかもしれないけど…
でもこうして剛に会えるようになったのは、この事のお陰だと思ってる。
私も見えないけど…グスッ…感謝してる。日村先生に感謝してる。」
リンコは小さなハンドタオルを口もとに当てながら話す
その泣いている時のクセは坂本の事故の時の
あの若かった高校時代を思い出させた
オレは再度日村先生を見た
先生はもう笑ってはいなかった
ただ
窓の外の遠くを見ていた
街並みや歩道をいく人を見ているのではなく
すごく遠く
ここにいる誰もが見えていない世界を見ているように感じた


