「日村・・・先生?」

オレは 携帯電話をピッタリと耳にくっつけた

樹花の寝ている病室の 空いているベッドに オレはドサッと腰を落とした


「はい」

この 顔を見なくても『無表情』と分かるこの口調

7年前 オレに霊の存在について影響を与えた女性

間違いない!


「先生・・・オレ・・です」


「オレ?」


「いや 僕・・・わたくし・・・アレ?」


頭の中が 色んなことを巡らせて うまく言葉を掴めない


「・・・別に オレでいいですけど! 奥村・・・ヒカルくん」


日村 令子は オレよりもとっくに先に 電話の相手がオレだと分かっていたのだった


こうして オレと日村先生は 『再会』を果たすことになったのだが・・・


その後 オレの樹花に対する気持ちを 不動のものにした

『何にすがってでも』樹花を助けたいという気持ちを湧き起こさせたモノを

オレは 発見した


日村先生からの 電話を切り 樹花の携帯電話を閉じようとした

ディスプレイに『不在着信1件』と表示されていた

『不在着信』は 間違いなく日村 令子からのもので オレがさっき出損ねたモノだ


オレは 不在着信の『履歴』だけ消すつもりでいた

樹花の『不在着信 消去しますか? Yes No』で 『Yes』を確定すると

パッと メール作成の画面に切り替わった

オレは 樹花が先ほどカフェで メールを打っていたのを思い出した


『まだ 途中だったんだ』


オレは 樹花の携帯を閉じようとしたが

メールの文の中に見えた 一瞬の文字に閉じる手が止まった


『大好き!』


オレは 不安になった

オレと うまく行っていない間に 他に好きなヤツでも出来たのか・・・?

『話し』って そのことだったのか?


半分それでも 自分のせいなので 仕方がないと思ったが

オレは 誘惑に勝てず 樹花のメールの相手を確認した