本当は オレは今すぐこの場から 走り去りたかった

この 会話が樹花の『別れの言葉』のようで オレの胸の中を『苦しさ』で押し潰していた


「・・・ありがとね・・・ピカちゃん・・・」


「そんな事で 感謝するなよ・・・まだ・・・これからなんだから・・・」


オレは 胸が張り裂けそうになりながら なんとかこらえた



オレは 樹花の右肩に目を凝らしてみた

…やっぱり 見えない・・・

オレは ハルの時みたいに 樹花の守護霊が見えるのではないかと思い

目を凝らしたが どうしても見えない


『なぜだ・・・』


なぜ ハルの時は出てきて 樹花の時は出てこないんだ


『霊能力者』なんて 結局はこんなものだ

『見たいものは見えず 見たくないものは見える』

修行次第で この中途半端な状態も 抜け出せるのだろうか・・・


オレは 目の前の 樹花を『守りたい』

ただ それだけを 必死に考えていた


この地球上で オレのこんな『想い』など 取るに足らない事なのだろう・・・

宇宙にしてみれば なおさら オレのこのちっぽけな『存在』自体

宇宙が『必要』とする存在ではないのかもしれない


だが・・・


これからは違う


オレは この『想い』を届けられるだけの男になるんだ


宇宙のシステムに『必要』だと『認められる』だけの人間になるんだ


そうすれば オレの『想い』は  宇宙をも『動かす』チカラとなる