それがどうだ 今またこうして 日村 令子と 向かい合ってる

やはり オレは 『逃げられない』のだ


『本当の事』から・・・


「松永さんは どう?」


「はい・・・今は 安定しています」


「そう・・・」


「オレ・・・先生は 『学校の先生』になられるのだと 思っていました」


オレは 本題から 話しを少しズラしていた

まだ 本題に入る気持ちが 整っていない


「別に 教育実習をやったからと言って 全員が教師になるわけじゃないわ」


「そう・・・ですよね ・・・いや・・『教える』の似合ってたんで・・・」


そう言うと 日村 令子は キュッと口角を上にあげて笑った


「そうね 教えるのは 嫌いじゃないわ 

現に今だって 『教える』仕事してるし!『相談』にも乗ってるわ

お金は貰っているけどね!」


「・・・樹花が 言っていました・・・

説明も分かりやすいし 話しも奥深いって・・・

いつも このスクールに来るの 楽しみにしていました」


「そう それは 嬉しいわ

松永さんもFP(ファイナンシャルプランナー)になる 夢が出来て

活き活きとしていたわ 

そんな 彼女の顔を見るのは 私も楽しみだった・・・」


そう ここは 様々な資格を目指す人たちが集まる 多目的スクールだ

日村 令子は ここの『ファイナンシャルプランナー(通称FP)養成講座』の

講師兼相談員を務めている

樹花は 半年前から このFP講座に通い出し 新しい夢を 追いかけていた


「それで 松永さんの 病状はどうなの? お医者様からは 何て言われてる?」


「はい 検査の結果は 『脳腫瘍』の再発でした・・・

今回は腫瘍の場所が 難しい部分にあるから切除出来ないと・・・

今は良性と思われるけど 意外に大きいので

悪性を含んでいる可能性もゼロではないらしくて・・・

いずれにせよ手術出来なければ

樹花は もう自力で動くことは…」