それが 叶わなかった 『今』

オレと 日村 令子との間に 大きな『亀裂』が生じた


オレは この女と 意見が合うことなど この先も無いだろう・・・

オレが もし この女を『理解』し『共感』しあえるとしたら

その時は オレが『悪魔』になった時だ


そう 思った


「『成功』・・・ですか・・・ 人1人 死なせておいて・・・

それを 坂本の母親の前で言えますか!?

・・・・人を『助ける』ことを優先できない 供養に

オレは『意味がある』とは 思えません


先生に『霊能力』があるという事は 認めます

でも オレは 『先生みたいに』は なりたくありません」


オレは そう言い放って 体育館とは逆の方に 歩き出した


「これだけは言っておくわ」


日村 令子は オレの背中に 声を放った

オレは 無言で立ち止まったが 振り返らなかった


「確かに!・・・あなたのように すぐに『感情』に ブレが生じていては

『本当の事』は 出来ないわね

あなたに 大切な人が『守れない』のは その『心の弱さ』よ

でも・・・あなたは まだ若い・・・

あなたが『選ばれた』人間であれば 尋常ではない『心』の試練がこれから待っているわ

『強く』なるために どうしても必要な出来事が これからも 待っている・・・」


オレは フッと 笑った・・・ 呆れたように・・・

そして 日村 令子を 振り返った


「じゃあ・・・ その『心』って何ですか! そもそも あなたに『心』なんてあるんですか!

人が ケガしたり 死んだりしても 哀しそうな顔すらしない

人が100人いたら 99人は あなたのことを『悪魔』だと言いますよ」


「じゃあ 残りの 1人は?」


オレは 一瞬返事に困ったが ひるむわけにはいかなかった


「ただの バカですよ  あなたに味方するのなんて そんな程度の人間くらいです」


日村 令子は クスッ と笑った

オレは マジで 怒った


「何が おかしいんですか!!」