≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~

『・・・病院!?』

輪子は また 走った

こぼれ落ちる涙を抑えられず うつむいた髪で顔を隠しながら

バスに乗り 徳村病院へかけつけた


病院へ到着したが 朝7時ということもあり 正面玄関の自動ドアは開かなかった

辺りを見回すと 正面玄関の脇に 『夜間専用』と書かれたインターホンがあった

輪子は 慌ててインターホンを押した


プー プー

インターホンを鳴らすと すぐに女性が出た


「はい」


「・・・あの すみません・・・ 中に入りたいんですけど・・・」


輪子は 事情も説明する事も忘れ そう言った


「どうなさいましたか?」


インターホンの声が 落ち着いた口調で尋ねてきた


「剛・・・坂本 剛は・・・ まだ ここにいますか?」


「・・・・・」


インターホンの声が 一瞬黙った

輪子の心臓は 今にものどから飛び出すのではないかというほど 鼓動を打っていた


と そこに 2階から 1人のナースが降りてきた

外にいるのが 輪子1人だと確認すると 自動ドアのスイッチを入れた



ガーーーーーッ


看護婦が 外に出てきた


「坂本さんの お知り合いの方ですか?」


「はい・・・」


「坂本さんは まだこの病院にいらっしゃいますが・・・」


看護婦がしゃべり終わらないうちに 輪子が言葉を発した


「剛に 会えますか・・・」


血の気の引いた 輪子の顔を見て 看護婦は心配そうな顔をした


「はい・・・でも・・・お会いになるかどうか 坂本さんに確認しないと・・・」


「そうですか・・・・!!?…えっ?? 剛は・・・生きてるんですか?」