≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~

「うん・・・」


リンコは 頷いた


『どうして・・・?』


「私・・・通学路・・・毎日 剛の住んでる マンションの前通るんだけど

その近くにね 『葬祭場』があるの

今朝 その『葬祭場』の前を通ると 『坂本家』って立て札が出てたの

私・・・ 慌ててバスを降りて 『葬祭場の中』に入って行ったの!」









「ハァハァハァハァ・・・」

輪子は 数段ある 葬祭場の階段を 一気に駆け上り 中へ入った

入ってすぐ なにやら慌ただしく準備に追われている 黒いスーツを着た男性を呼び止めた


「す・・・すみませんっ!」


「・・はい」


輪子に気が付くと その黒いスーツの男性は 輪子の方へ歩いて来た

どうやら『葬祭場』の 職員らしい


「あの・・・ 表の立て札に・・・ 『坂本家』ってあるんですけど・・・ハァ

亡くなった方の・・・名前・・・ハァ 分かりますか?」


輪子は バスを降りて『葬祭場』まで 一気に駆け上がってきたのと

まさか 剛に何かあったのではないかという 緊張とで 息を切らしていた


「あー・・・ 下のお名前を まだ 私の方で 把握していないんですよ!

電話を受けた者でしたら 存じておりますので 確認いたしましょうか?」


黒いスーツの男は 丁寧にそう言うと 確認のために輪子の前を立ち去ろうとしていた

ふと・・・その男は 足をとめ 輪子を振り返った


「そうそう 年は まだお若い青年と聞いております・・・お心当たりでも?」


それを聞いて リンコは その場に じっと立っている事が出来なかった


『剛!!』


「あっ ちょっと・・・」


輪子は 黒いスーツの男の制止もきかず また駆け出し『葬祭場』を出た


『剛だ!剛が急変したんだ!・・・そんなに悪かったんだ・・・』


輪子は まず葬祭場のすぐ近所にある 剛のマンションに駆けつけた


剛の部屋の番号を押し チャイムを押すが ・・・誰も出ない