「7年前 私が高校3年生の時に

改めて この山を登山に使うことに決まったの

宿泊施設も出来て 以前より

学生が上るには 環境が整ったの

だから 私はこの山に登った『一期生』ってことに

なるのかしらね」


オレは 言っちゃイケナイコトを言ってしまったのだろうか
7年前 日村令子は14才ではなく17才だったのだ。


「すみません・・・

オレ 日村先生が4浪してたなんて

知りませんでした」


オレがそういうと 日村先生と中道さんと島田さんは

顔を見合わせて笑った


「日村さんは 大学は一発合格だったよ ただ・・・」


「おい 島田!」


中道さんが制止した


『ただ・・・』


の先を聞いてみたかったが

中道さんが制止したのを

オレが強引に聞きたがるのも

大人げないなと 思いとどめた


この3人が 霊の供養の為に建てた石に

坂本の兄は登って、ケガをしたのだ



と同時に このように

供養で建てたモノが

無くなる結果になるということは

供養がうまく進んでいないという事も

も含んでいるらしい…



それに登ってしまった 坂本の兄は

元々そういう『運命』だったのか

オレにはまだよく分からなかったが

妙な『因縁』のようなモノを

オレは感じた


ここに 小さくなって立っている

坂本の母親は この事を

傷ついたその胸で

どう受け止めているのだろうか・・・