やっぱり 門前払いか・・・

オレは 少しショックだったが 日村 令子と話した事を

思い出しながら 病院を出た







日曜日 早朝5時の待ち合わせ通り

徳村病院の前を 7人乗りのバンの 中道さんの車で出発した

目的地は 勿論 『あの山』だ

オレは 眠い目をこすりながら

日村 令子の隣に座っていた

今回は 宿泊所まで車でで登った


28年前とは違い

今は あの楠木の近くまで

車で来れるようになった

楠木といっても7年前に植樹されたものらしい


前回通りの『供養』に 中道さん 島田さん 旧姓宮田さんが加わり

やはり 日村 令子が モジョモジョと初めと終わりに言い

護摩木も『中道家 島田家 宮田家』の分が それぞれ増えていた

プラス今回は『サカキ』6本 と黄色い『菊』も6本用意されていた

この前と違ったことと いったらこのくらいだ


高野さんが亡くなった場所で 坂本の母親が手を合わせて泣いていた


「先生・・・ごめんなさい・・・

もう 許してください・・・

本当に 本当に 悪かったと思っています

どうか どうか成仏なさって下さい・・・」


中道さんと島田さんは その姿を黙って見ていた

オレは あの夜以来 あの時の『霊』は

見ていないが 供養が終わりかけると

何か熱いモノが オレの身体を抜けて行ったような気がした

オレは 恐らくその人が『成仏』したのだと感じた

坂本のお母さんは高野先生と言っていたが

日村 令子に言わせると

違うらしい・・・

そんな事を思いながら供養に立合っていた



楠木のところに以前置いてあった 石碑は

実は 7年前に中道さんと島田さんと日村先生で

そこにいる霊を『供養』する為に置いたものだったそうだ



「7年前に 皆さんはどういう関係で

知り合われたんですか?」


オレは 不思議だった

7年前の日村 令子は 単純計算で14才だ

どうやってこの場所に

来ることになったのだろう…