「そう、人は見えない世界の影響をもろに受ける

善の思いや行為が大きければ人は増え続ける

けれど、善と悪が均衡を保ち続けるのならば

誰かが『悪』と化してバランスを取らなければならない」



「このサイクルは永遠に終わらないんですね」


オレはいよいよ話の出口が見えなくなっていた


「ええ、『浄化』は細かい部分ではそれで助かる人もいるけれど

結局はどこかでバランスを取るのなら

大きく全体をみると、意味を成していないことになるわね」



「昨日の仲間は今日の敵…みたいな感じ…ですかね」


日村 令子はテーブルに向け視線を逸らした


「でもね『それではいけない』と アショラ王もお困りになったの

その時 善霊界から ものすごい能力を持つ『善霊』が出たの

アショラ王は 善霊界を彼女に任せることにしたわ

それと 同時に悪霊界も そこをしきる能力を持つ『悪霊』がトップになった

どちらの言い分も正しく どちらも能力が高いから 『浄化』には

やはり 時間がかかっているみたい」


「…日村先生は どうして・・そんな事 詳しく知っているんですか?」


「私? ・・・実はね・・・」


「はい・・・」


「私にも『指導者』がいるの」


「えっ それは『霊』の・・・?」


「『霊』と『人間』両方よ」


この人より すごい人がいる・・・


オレは『霞を食べて生きている』という『仙人』を想像した


…とその時 背後から声がした


「あの・・・・」


『!?仙人?』