≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~

リンコたちが 帰って

しばらく経った

オレと 坂本の母親は 無言で居た

オレは 少しくらい 何か話しかけた方が

いいかと 思い 


「あの・・ これ 坂本のスニーカー

なんですけど・・・」


そう言って 坂本の寝ている

病室に 入った

坂本の母親は 横目で

チラッ と

オレの持っている スニーカーを見ると


「そこに置いておいてください」


と 具体的に『そこ』を

示しもせずに 答えた


「じゃあ この辺置いておきます」


オレは 坂本の寝ている ベッドの下に

ビニールごと スニーカーを 置いた


ちょうどその時


「ウウ・・・ッ」


坂本にかけてあった 足下の布団が

モソッと 動いた


「剛!!」


『意識が戻った?!』


「ウウウ・・・ウウ・・・」


酸素マスクを 取り付けられた

口元から 声が漏れた


「剛!分かる?お母さんよ!

剛!痛いの?んっ?」


酸素マスクの 隙間から漏れる声に

坂本の母親は 耳を近づけた

意識の戻った 剛は

まだ 夢と現実の間に居るようだった