そこに居た 全員の目が 

手術室の扉の方に 釘付けになった


ガーッ

銀色の重厚な扉が 自動で開いた


中から グリーンの手術衣を着た医師が出てきた


「先生・・・ 息子は・・・?!」


坂本の母親が 手術を終えた先生に駆け寄った


「・・・一応・・手術は うまくいきました

ただ 左の眼球は 損傷がひどく 残すことは

出来ませんでした 鼻と顔面の左側全体が

骨折をしていましたので 今日は

皮膚表面の損傷と 早急に必要な処置

だけをしています 顔の腫れが引いたら

残りの骨折部の修復手術を再度行います」


坂本が・・・左目摘出・・・

オレは 全身が冷たくなって

その場を動くことが 出来なかった

リンコは また号泣しだした

リンコの母親は そんなリンコの肩を

抱いて 母親らしく涙はこらえていた


「剛は・・・助かるんでしょうか!?」


医師は マスクを取った


その時 坂本の母親の顔がこわばった

オレは その理由を 医師の顔を見て

スグに察知する事ができた


「島田さん!」


オレは つい 叫んだ

島田さんは オレに『あとで…』という

アイコンタクトをした